残業代請求事件や過労死事件において会社からすすめられた研修に参加した時間は労働時間になるのか

1 研修に参加するために年次有給休暇を消化しないといけないのか

 

 

会社からスキルアップのための外部の研修に参加するように

言われたものの,その研修に参加するためには

年次有給休暇を取得しなければならないと言われたとします。

 

 

 

会社としては,その研修に参加する時間を労働時間と捉えておらず,

平日に年次有給休暇を取得して参加するか,

休日に残業代なしに参加するしかないようです。

 

 

このように,会社から参加するように言われた

研修に参加した時間は労働時間になるのでしょうか。

 

 

2 研修に参加した時間は労働時間か

 

 

まず,労働時間と認められるためには,

会社の指揮命令下に置かれている必要があります。

 

 

会社から研修に参加するように指示があれば,

その研修は会社の指揮命令下に置かれた時間といえ,

労働時間となります。

 

 

そのため,会社から研修に参加するように

指示があったのにもかかわらず,研修に参加するのに

年次有給休暇を取得しなければならないのは違法となりますし,

休日に研修に参加させたのであれば,会社は,

休日に働いた分の給料や残業代を支払わなければなりません。

 

 

次に,研修に参加することについて,

就業規則上の制裁などの不利益取扱による出席の強制がなく,

自由参加のものであれば,労働時間とはいえません。

 

 

他方,業務との関連性が認められる企業外研修や小集団活動は,

会社の明示または黙示の指示に基づくものであり,

その参加が事実上強制されている場合には,労働時間と認められます。

 

 

3 会社の小集団活動の時間が労働時間に該当するかが争われた事件

 

 

ここで,会社における小集団活動の時間が

労働時間に該当するかが争われた

国・豊田労基署長(トヨタ自動車)事件の

名古屋地裁平成19年11月30日判決を紹介します

(労働判例951号11頁)。

 

 

この事件では,トヨタ自動車に勤務していた

30歳の労働者が過労死した事件で,

次のような小集団活動が労働時間に該当するかが争われました。

 

 

 

①創意くふう提案活動(所定の用紙に業務に関する

改善策とその効果などを記入する活動)

 

 

②QualityControlサークル活動

(職場の改善に関するテーマについて話合いをおこない,

話合いで決められた目標に向けた活動をすること)

 

 

③エキスパート会(技術及び知識の向上を図るための研修会,後援会,

他会社の見学会,各種の懇親会,親睦と慰安のための行事,

会員相互の慶弔扶助などの事業を行う)

 

 

④交通安全活動(自動車運転中に事故にあいそうになった経験と

今後の予防策の提案を交通安全ヒアリ提案シートに記入して提案する活動)

 

 

裁判所は,これらの小集団活動は人事考課の考慮要素とされ,

その活動内容が業務に反映されて,賞金や研修費の助成金が支払われたり,

一部の時間につき残業代が支払われている状況からして,

小集団活動に従事していた時間は労働時間と判断されました。

 

 

その結果として,1ヶ月の時間外労働が106時間となり,

過労死の労災認定がされました。

 

 

このように,会社がすすめる研修も,

人事考課の考慮要素になっていたり,

研修が業務に関連している場合には,

労働時間になる可能性があり,その場合には,

研修に参加するために年次有給休暇を消化させることは違法になります。

 

 

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