スーパーホテルの支配人は労働者か

1 スーパーホテルの名ばかり支配人が提訴

 

 

スーパーホテルの支配人であった男女が

未払残業代請求の訴訟を起こしました。

 

 

https://www.asahi.com/articles/ASN5X635MN5XULFA01J.html

 

 

スーパーホテルでは,支配人との間で

業務委託契約を締結しているようで,提訴した支配人の男女は,

業績悪化を理由に業務委託契約を解除されたようです。

 

 

 

形式的には業務委託契約を締結していたため,

支配人は労働者として扱われず,裁量がないなかで

24時間365日働かされてきたと主張しています。

 

 

支配人が個人事業主ではなく労働者と判断されれば,支配人には,

労働基準法が適用されますので,1日8時間を超えて働いた場合に,

会社に対して,残業代を請求できることになります。

 

 

今後,雇用によらない働き方が増えていきますと,

実質は労働者なのに,形式が労働契約ではないので,

労働基準法の保護を受けられないという問題

が増えてくることが懸念されます。

 

 

本日は,労働基準法が適用される労働者について,解説します。

 

 

2 労働基準法の労働者とは

 

 

労働基準法9条には,労働者の定義が定められており,

「事業に使用される者で,賃金を支払われる者」とされています。

 

 

「事業に使用される者」とは,使用者の指揮監督下において

労務の提供をする者をいい,「賃金を支払われる者」とは,

労務に対する対償を支払われる者をいいます。

 

 

これだけでは,まだ抽象的なので,具体的には,

以下の考慮要素を総合して判断していきます。

 

 

使用者の指揮監督下における

労務の提供の有無に関する考慮要素としては,

①仕事の依頼,業務従事の指示に対する諾否の自由の有無,

②業務遂行上の指揮監督の有無,

③時間的・場所的拘束の有無,

④労務提供の代替性の有無があげられます。

 

 

例えば,①仕事の依頼を断ることができず,

②会社からの指揮監督を受けていて,

③仕事の時間と場所が決められていて,

④自分以外の代わりの人材に仕事をしてもらうことができない場合には,

労働者と判断されやすくなります。

 

 

報酬の労務対償性の有無に関する考慮要素としては,

⑤報酬の額,計算方法,支払形態,

⑥給与所得としての源泉徴収の有無,

雇用保険,厚生年金,健康保険の保険料徴収の有無があげられます。

 

 

例えば,⑤報酬が時間給を基礎として計算されていたり,

⑥報酬から社会保険料がひかれていれば,

労働者と判断されやすくなります。

 

 

その他の補強要素として,

⑦事業者性の有無に関する要素,

⑧専属性の程度に関する要素があげられます。

 

 

例えば,⑦仕事で使用する器具を会社から支給されていたり,

⑧他の会社で働くことか事実上困難であれば,

労働者と判断されやすくなります。

 

 

このように,上記①~⑧の要素を総合考慮するので,

労働者といえるかの判断は,そう簡単ではありません。

 

 

スーパーホテルの支配人の場合,あらゆる業務内容は

1400ページもあるマニュアルに規定されていたようですので,

②業務遂行上の指揮監督があったといえそうです。

 

 

 

また,ホテル内の居住スペースには,

フロントの監視カメラの映像が常に流れており,

緊急時対応用の電話があって,

客とのトラブルにいつでも対応しなければならないので,

③時間的,場所的拘束性があり,

⑧専属性が高かったといえそうです。

 

 

そのため,スーパーホテルの支配人は,

労働者と判断される可能性があると考えます。

 

 

裁判所がどのような判断をするのか,動向を注視していきたいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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