アルバイト職員に対して賞与を支給しないことは不合理な待遇格差といえるのか?~大阪医科薬科大学事件最高裁判決~

1 労働契約法20条裁判の最高裁判決

 

 

昨日、最高裁で重要な判決がくだされました。

 

 

大阪医科薬科大学事件とメトロコマース事件において、

最高裁判決がでたのです。

 

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64929970T11C20A0000000/

 

 

この2つの事件については、高裁段階で、

正社員と非正規雇用労働者の労働条件の格差を縮める

画期的な判断がなされたので、過去にブログで紹介して、

注目していました。

 

 

しかし、昨日の最高裁判決では、原告側が敗訴してしまい、

残念な結果となってしまいました。

 

 

本日は、昨日の最高裁判決のうち、

大阪医科薬科大学事件について解説します。

 

 

2 大阪医科大学事件高裁判決

 

 

大阪医科薬科大学事件の大阪高裁平成31年2月15日判決は、

正社員とアルバイト職員との賞与の格差について、

初めて不合理と判断しました。

 

 

 

この事件では、正社員には、賞与が支給されているにもかかわらず、

アルバイト職員には、賞与が支給されていないことが、

不合理であるとして、アルバイト職員の原告が、

労働契約法20条違反を理由に、損害賠償請求をしたのです。

 

 

労働契約法20条は、現在、パート有期法8条になり、

正社員と非正規雇用労働者との間の待遇について、

業務の内容と責任の程度、

当該職務の内容及び配置の変更の範囲、

その他の事情のうち、

当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして

適切と認められるものを考慮して、

不合理であってはならないと規定されています。

 

 

ようするに、正社員と非正規雇用労働者との間の

前提条件が違う場合には、その違いに応じて

待遇も均衡して取り扱わなければならず、

前提条件が同じ場合には、

正社員と非正規雇用労働者の待遇を同一に取り扱わなければならない、

というわけです。

 

 

大阪医科薬科大学事件の大阪高裁の判決では、

大阪医科薬科大学における賞与の性質に注目して、

この大学の賞与は、基本給のみに連動しており、

正社員の年齢や成績、大学の業績には連動していないので、

賞与の算定期間に在籍し、

働いていたことの対価としての性質を有するので、

このことは、アルバイト職員にも妥当するものと判断されました。

 

 

そして、非正規雇用労働者のうち契約社員には

正社員の約8割の賞与が支給されていたのに、

アルバイト職員には賞与がゼロということも

不合理と判断する要素となりました。

 

 

その結果、大阪高裁は、正社員の賞与の60%を

下回る支給しかしない場合には、不合理になると判断しました。

 

 

3 大阪医科薬科大学事件最高裁判決

 

 

しかし、最高裁は、この大阪高裁の判断を否定しました。

 

 

最高裁は、大阪医科薬科大学の賞与について、

通年で基本給の4.6ヶ月分が一応の支給基準となっていて、

正社員の基本給は、勤続年数に伴う職務遂行能力の向上に応じた

職能給の性格を有するので、正社員の賃金体系や

求められる職務遂行能力や責任の程度に照らして、

正社員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図る目的から、

正社員に対して賞与を支給していると判断しました。

 

 

このように、賞与の性質や目的の判断が、

高裁と最高裁とで分かれたのです。

 

 

そして、アルバイト職員の職務内容は相当に軽易であるのに対して、

正社員の職務は、学内の英文学術誌の編集事務、

病理解剖に関する遺族への対応などの業務をするなどもあり,

正社員とアルバイト職員との職務の内容に

一定の相違があると判断されました。

 

 

さらに、アルバイト職員には、

契約社員や正社員への登用試験の制度があり、

格差是正のための一応の対応もあるとして、

「その他の事情」として考慮されました。

 

 

その結果、賞与の性質や支給目的を踏まえて、

正社員とアルバイト職員の職務内容を考慮すれば、

正社員には賞与を支給して、アルバイト職員には賞与を支給しない

という相違は不合理ではないと判断されたのです。

 

 

最高裁は、大阪医科薬科大学の賞与を、

正社員としての職務を遂行し得る人材の確保や

その定着を図るなどの目的から支給しているというように、

会社の主観的な事情をもとに判断しているのですが、

このような判断をするのであれば、

およそ全ての待遇について相違の不合理が

否定されてしまうおそれがあります。

 

 

 

待遇の性質や目的については、支給要件や内容、

支給実態などの客観的な事情をもとに判断すべきと考えます。

 

 

高裁段階で、賞与の格差が不合理と画期的な判断が出されて

期待していたのに、最高裁で賞与の格差が不合理ではないと

ひっくり返ってしまい、とても残念です。

 

 

賞与の格差が不合理となるのは難しいと言えそうです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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