石川県で労災事故が増えている

石川労働局の統計によれば,平成28年の

石川県内の労災による死傷者数は987人であったのに対し,

平成29年には1153人に増加しました。

 

 

16.8%の増加です。

 

 

 

石川県の飲食業界では,前年比27.6%も増加しました。

 

 

6月10日の北陸中日新聞の記事では,

労災が増加した原因に人手不足があると指摘されています。

 

 

ある飲食店では,人手不足のために,

労働者は,休むことができずに,疲労がたまり,

働いている最中に意識が遠のき,

足を滑らせて床に体をうちつけて,

骨折してしまいました。

 

 

ある介護施設では,人手不足のために,

一人で多くの利用者を担当することになり,

利用者の入浴介助の後に転倒して肩を痛めました。

 

 

石川県内の労働現場では,人手不足のために,

休めなかったり,一人で多くの仕事を

しなければならなくなったりして,疲労がたまり,

疲労の状態のまま仕事をして,ミスが生じて

労災事故が発生していると考えられます。

 

 

また,白山市の製紙会社の工場で,

労働者3人がタンクに転落して死亡するという

痛ましい労災事故が発生しました。

 

 

さて,ここからは,転倒や転落といった労災事故

にまきこまれてしまった場合の対処法について説明していきます。

 

 

労災事故にまきこまれて,けがを負った労働者は,

まず,労働基準監督署へいき,

労災保険給付の請求を行うべきです。

 

 

事故が労災と認定されれば,

治療費を自分で負担する必要がなくなり,

会社を休むことになれば,休業補償を受けれますし,

後遺障害が残れば,障害の程度に応じて給付を受けられます。

 

 

会社が労災請求の手続を代行してくれることがありますが,

労災請求用紙を労働基準監督署へ提出する前に,

労働者が自分で事実関係に誤りがないかチェックするべきです。

 

 

会社は,労災が発生した場合,労働基準監督署に

報告する義務がありますので,労災隠しは違法なのです。

 

 

労災と認定されて,給付が受けられたとしても,

労災保険だけで,労災事故によるけがの補償が

完全になされたことにはなりません。

 

 

労災保険は,政府による最低限の補償であって,

労災事故によって労働者が被った損害のすべてを

補償するには不十分です。

 

 

例えば,慰謝料は,労災保険の補償の対象外となっています。

 

 

そこで,労災保険給付では足りない部分について,

会社に対して,損害賠償請求をすることになります。

 

 

この会社に対する損害賠償請求では,

会社に「安全配慮義務」違反があったか否かが争点になります。

 

 

安全配慮義務とは,会社は,労働者の生命・健康を

危険から保護するように配慮しなければならないという義務です。

 

 

会社は,直接労働契約を締結している労働者

に対して安全配慮義務を負うのは当然ですが,

直接労働契約を締結していない労働者に対しても

安全配慮義務を負うことがあります。

 

 

例えば,建設現場などで,

いくつもの元請・下請関係が存在し,

建築資材や機械を元請が準備し,

工事現場の安全管理や現場作業員への指示を

元請業者が行っている場合,

元請業者は,下請業者の労働者と直接労働契約

を締結していませんが,下請業者の労働者に対して,

安全配慮義務を負うことになります。

 

 

 

そのため,下請業者に資力がなくて,

下請業者に損害賠償請求をしても,

損害賠償金を回収できないおそれがあっても,

元請業者に対して,損害賠償請求を

することが可能になるのです。

 

 

石川県で労災事故が増加している今,

労災事故にまきこまれてしまったら,

労災保険給付を受け,会社に対して,

損害賠償請求をするのかを検討することをおすすめします。

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