地域防災訓練に参加する途中の負傷は労災か?

2018年は災害の多い年でした。

 

 

2018年2月には北陸地方で大雪,

6月には大阪北部地震,

7月には中国地方で豪雨災害,

夏から秋にかけて台風の被害,

9月には北海道胆振東部地震など,

全国各地で被害が発生しました。

 

 

 

 

このように,災害が多発していることから,

災害から自分の身を守るために,

地域では防災訓練が行われています。

 

 

さて,地域防災訓練に参加するための途中にけがをした場合,

労災が適用されるのでしょうか。

 

 

本日は,地域防災訓練に参加する途中でけがをした

市立小学校の教師が,公務災害に該当するかについて

争った地公災基金山梨県支部長事件を紹介します

(東京高裁平成30年2月28日判決・労働判例1188号33頁)。

 

 

この事件では,市立小学校の教師が,

日曜日に実施された地域防災訓練に参加するため,

その会場に向かう途中,その経路の途中にある

自らが担任する学級所属の児童の住居を訪問した際,

その住居で飼育されている犬にかまれて傷害を負いました。

 

 

 

 

この傷害について,原告の教師は,

公務災害の申請をしましたが,

公務災害とは認められなかったため,

裁判を提起しました。

 

 

本件のようなケースで,公務災害と認定されるためには,

公務上の災害の認定基準について」という文書の1キ(キ)の

「地方公務員法第24条第5項の規定に基づく条例に

規定する勤務を要しない日及びこれに相当する日に

特に勤務することを命ぜられた場合の出勤又は退勤の途上」であって,

「合理的な経路若しくは方法によらない場合又は

遅刻若しくは早退の状態にある場合」ではない

という要件を満たす必要があります。

 

 

ようするに,休みの日に出勤することを命じられた場合の

通勤経路の途中の事故であって,

通勤経路が合理的な経路や方法から

逸脱していないことが必要になるのです。

 

 

本件事件では,まず,日曜日に地域防災訓練に参加することが

特に勤務することを命ぜられた場合」に該当するかが争われました。

 

 

なぜならば,校長は,教師に対して,

地域防災訓練への参加を明確に命令していなかったからです。

 

 

とはいえ,職務命令には,明示的なものの他に,

黙示的なものも含まれます

 

 

本件事件では,防災訓練にできるだけ参加するように

具体的な指導があったこと,防災訓練が学校をあげて

取り組むべき行事として位置づけられていたこと,

代休取得の措置がとられていたことなどから,

教師が防災訓練に不参加を申し出ることが

事実上困難であったことから,

黙示的な職務命令があったと認定されました。

 

 

その結果,本件事件で防災訓練に参加することは,

「特に勤務することを命ぜられた場合」

に該当すると判断されたのです。

 

 

次に,防災訓練へ向かう途中で児童の自宅を訪問したことが,

合理的な経路から逸脱したかが争われました。

 

 

 

 

本件事件では,原告の教師は,忘れ物を届けるついでに

児童に防災訓練への参加を呼びかける目的で,

勤経路沿いにある児童の自宅を訪問し,

その訪問時間も数分程度くらいであったことから,

防災訓練への参加と無関係な目的で訪問したわけではないので,

合理的な経路から逸脱していないと認定されました。

 

 

その結果,原告の負傷は,公務災害と認められました。

 

 

今後,災害が増えていく中で,

防災訓練へ参加することがなかば

強制されていく可能性があります。

 

 

防災訓練へ参加する途中や参加中にケガをした場合に,

労災になるかについて,本件事件は参考になると思います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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