懲戒解雇される前に会社を自己都合退職できるのか?

会社のお金を横領してしまったという不祥事や,

会社の外で万引きをして逮捕勾留されて,

長期間会社を欠勤してしまったといった場合,

労働者は,会社から懲戒解雇されてしまう危険があります。

 

 

 

会社から懲戒解雇されそうな場合,

労働者は,懲戒解雇される前に,

会社を自己都合退職することができるのでしょうか。

 

 

懲戒解雇されてしまうと,自分の経歴に

大きなきずがついてしまうので,労働者としては,

懲戒解雇を避けて,自分から会社を辞めたいと考えるものです。

 

 

本日は,懲戒解雇と自己都合退職について検討します。

 

 

何回かブログで解説してきましたが,

正社員であれば,退職届を提出してから,

2週間が経過すれば,辞める理由に関係なく,

会社を退職することができます。

 

 

さらに,年次有給休暇が残っている場合には,

退職届を提出した後に,年次有給休暇を取得して

会社を休めば,2週間会社に出勤することなく,

退職することができるのです。

 

 

このように,労働者が会社に退職届を提出してから

2週間が経過すれば,退職の効力が生じて,

労働契約は終了します。

 

 

そのため,労働者に,懲戒解雇に該当する懲戒事由が

存在する場合であっても,労働者がすでに

自己都合退職していて,労働契約が終了している場合には,

会社は,重ねて,懲戒解雇という労働契約の終了を

内容とする処分をすることができないのです。

 

 

 

 

例えば,不正経理の疑いが生じた労働者に対して,

会社が事実関係を調査している最中に,

労働者が退職届を提出して,2週間が経過してしまえば,

調査の結果,懲戒解雇に該当する懲戒事由が認められて,

懲戒解雇をしたとしても,自己都合退職の効力が

有効に発生した以上は,懲戒解雇は無効になります。

 

 

もし,労働者に,懲戒解雇されてもやむを得ない

行為をしたという心当たりがあり,

会社から懲戒解雇されそうになったのであれば,

懲戒解雇されてしまう前に,

さっさと退職届を会社に提出すればいいのです。

 

 

そして,運良く,退職届提出から2週間以内に

懲戒解雇されなければ,自己都合退職できて,

懲戒解雇を免れることになります。

 

 

もっとも,就業規則に,懲戒解雇事由が認められる場合には,

退職金を減額または不支給にするという規定が存在すれば,

自己都合退職したとしても,退職金を減額されたり,

不支給とされる可能性があることを知っておいてください。

 

 

 

 

懲戒解雇事由で退職金が減額されるだけであれば,

減額されることを承知で退職金を請求してみる

のも一つの手ではあります。

 

 

懲戒解雇されるか,自己都合退職できるかで

精神的に追い詰められるのは健全なことではありませんので,

労働者は,くれぐれも悪いことはしないようにしてくださいね。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

年次有給休暇は労働者の権利です!

 

昨日に引き続き,年次有給休暇の解説をしていきます。

 

 

昨日のブログに記載しましたが,

よほどの事情がない限り,

会社の時季変更権の行使は認められず,

労働者は,原則として,自由に

年次有給休暇を取得することができるのです。

 

 

ということは,会社は,労働者が年次有給休暇を取り得るように,

人員配置をする義務があり,その義務をはたした上でも,

労働者の多数の年次有給休暇の取得が重なるなど,

突発的な理由で,労働者が指定してきた時季に

休暇を与えることが会社の業務を阻害すると

客観的に認められる場合にのみ,時季変更権を行使できるのです。

 

 

単に会社が繁忙であるという理由だけでは,

会社は,時季変更権を行使できないのです。

 

 

 

 

恒常的な人手不足のために,代替要員を確保することが

常に困難な会社では,そもそも時季変更権が

認められないことになります。

 

 

職場が忙しい,人手が足りない,同僚に気兼ねする

といった理由で,労働者は,年次有給休暇の取得を

自粛してしまいがちですが,これらの理由では,

会社は時季変更できないので,自信をもって,

年次有給休暇を取得してもらいたいです。

 

 

次に,労働者が退職する前に,たまっていた

年次有給休暇を消化しようとしたときに,会社は,

時季変更権を行使できるのでしょうか。

 

 

会社が,時季変更権を行使できる前提として,

労働者が指定した日とは別の日に

年次有給休暇を与える必要があります。

 

 

そうなると,労働者が退職する場合,

会社は,別の日に年次有給休暇を与えることができないので,

会社は,時季変更権を行使できないことになります。

 

 

 

 

そのため,会社が,退職する労働者に対して,

引継ぎの仕事があるといって,時季変更権を行使して

年次有給休暇を取得させないことは違法になるのです。

 

 

退職する労働者が,業務の引継ぎのため,

退職日まで働いてしまい,残っている年次有給休暇を

消化できなかった場合,会社に対して,

年次有給休暇の買い取りを請求できるのでしょうか。

 

 

年次有給休暇の買い取りは,法律上の制度としては

認められていないので,会社が買い取りに応じてもらえるなら,

年次有給休暇分の賃金を支払ってくれますが,

会社が買い取りに応じないときには,

年次有給休暇はそのままとなり,

労働者が損をすることになります。

 

 

会社が年次有給休暇の買い取りに応じてくれる

保障はないので,退職するまでに年次有給休暇を

取得してしまい,残さないようにしましょう。

 

 

さて,今年の働き方改革関連法において,

年次有給休暇に関して重要な法改正がありました。

 

 

 

それは,会社は,労働者に対して,

1年間に最低5日,年次有給休暇を取得させることが義務付けられ,

これに違反した場合には,労働者1人あたり,

30万円以下の罰金が科されることになりました。

 

 

厚生労働省の平成29年の「就労条件総合調査」によれば,

労働者は,与えられた年次有給休暇の日数のうち

約半分の日数しか年次有給休暇を取得していないことから,

違反した会社に罰則を科すことで,労働者の年次有給休暇の

取得率向上を図ろうとしているのです。

 

 

このように,会社は,1年間に最低5日,

労働者に年次有給休暇を取得させないと,

罰金が科されるので,労働者は,

周囲に気兼ねすることなく,

堂々と年次有給休暇を取得して,

リフレッシュしてもらいたいです。

 

 

 

 

年次有給休暇を利用して,

しっかり休むことで,

よりよい仕事ができるようになります。

 

 

年次有給休暇の取得は,労働者の権利

であることを忘れないでください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

年次有給休暇を活用しよう!

会社を退職するにあたり,残っている年次有給休暇を

取得しようとしたところ,会社から,人手不足なので,

年次有給休暇の取得を認めないと言われました。

 

 

 

 

労働者としては,会社が人手不足なので,

年次有給休暇を使ってほしくないのはわかりますが,

退職してしまえば,残った年次有給休暇がもったいなくて,

どうすればいいのか迷いますよね。

 

 

そもそも,会社は,人手不足を理由に

労働者の年次有給休暇の取得を拒むことができるのでしょうか。

 

 

本日は,労働者が疑問に思う年次有給休暇について解説します。

 

 

まず,労働者は,1年間に行使できる

年次有給休暇の日数の範囲内で,

具体的な休暇の始まる日と終わりの日を特定して,

会社に通知するだけで,年次有給休暇を

取得することができるのです。

 

 

 

 

ここで重要なのは,年次有給休暇を取得するのに,

会社の承諾は必要ないのです。

 

 

年次有給休暇は,労働者が自由に利用することが

できるものなので,何の目的で年次有給休暇を

取得するのかを会社に届け出る必要もありません。

 

 

次に,労働者は,いつまでに,年次有給休暇の取得を

会社に伝える必要があるのでしょうか。

 

 

就業規則に,前日の正午まで,前々日の勤務終了時まで

などと規定されている場合には,

その規定に従って会社へ通知すれば問題ありません。

 

 

就業規則に,いつまでに会社に通知すればいいのかが

規定されていなければ,労働者が希望する

年次有給休暇の開始までに,会社に通知すればよいです。

 

 

可能であれば,年次有給休暇の取得を希望する

前日の終業時刻までに,会社に通知するのが望ましいです。

 

 

それでは,会社は,労働者が年次有給休暇

の取得を希望した日ではなく,別の日に

変更させることができるのでしょうか。

 

 

労働基準法39条5項には,

事業の正常な運営を妨げる場合」には,

会社は,労働者が年次有給休暇の取得を

希望した日とは別の日に年次有給休暇を

取得させることができます。

 

 

これを,時季変更権といいます。

 

 

ただし,年次有給休暇の取得は,

労働基準法で認められた労働者の権利であり,

原則として,労働者が希望する日に

年次有給休暇を取得させるべきですので,

会社の時季変更権は,例外的な場合にしか認められません。

 

 

そのため,「事業の正常な運営を妨げる場合」とは,

当該労働者のその日の労働が,

所属する事業場のその日の業務運営にとって必要不可欠であり,

当該労働者がその日に働かないと,

事業場全体の業務が阻害されてしまう場合に限定されます。

 

 

 

 

ようするに,よほどの事情がない限り,

会社の時季変更権の行使は認められず,

労働者は,原則として,自由に

年次有給休暇を取得することができるのです。

 

 

長くなりましたので,続きは,明日以降に記載します。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

非正規公務員の雇止め問題

公務員の労働問題は,民間企業の場合と

異なることが多々あります。

 

 

 

公務員の労働条件は,法律や条例で定められるのに対して,

民間企業の労働条件は,労働契約書や就業規則で定められます。

 

 

また,公務員の採用や退職といった身分関係の変動が

全て行政行為に基づいている点に特色があります。

 

 

行政行為とは,行政庁が,法律に基づき,

公権力の行使として,直接・具体的に

国民の権利義務を規律する行為をいいます。

 

 

そのため,公務員の身分関係の変動を争う場合には,

行政庁の判断に裁量の逸脱や濫用があったかが争点になります。

 

 

このように,公務員の労働問題は,

民間企業とは異なる特殊性があるのですが,

本日は,非正規公務員の雇止めの問題について解説します。

 

 

労働契約法19条によって,民間企業の非正規雇用労働者は,

有期労働契約が更新されるものと期待することについて

合理的な理由がある場合には,雇止めが無効になって,

有期労働契約が更新されることがあります。

 

 

しかし,非正規公務員の場合,労働契約法21条によって,

労働契約法が適用されないため,

今後も雇用が継続すると期待することについて

合理的な理由があっても,雇止めは有効となります。

 

 

民間企業の非正規雇用労働者であれば,

雇用が継続される場合であっても,

非正規公務員の場合は,行政庁が更新を認めない限り,

雇用が継続されることはないのです。

 

 

これは,公務員の採用である任用は,

行政庁の行政行為があって初めて勤務関係が成り立つのであって,

民間企業のように,労働者と会社の合意だけで

勤務関係が成立しないことに原因があります。

 

 

すなわち,法令に則った任用や任用更新手続が行われる

非正規公務員の再任用拒否については,

民間企業の場合と異なり,当事者の合理的意思解釈

によって任用関係の内容が変更されることは

認められていないので,再任用への期待が

直ちに合理的な期待として法的保護が与えられないからなのです。

 

 

それでは,任用更新ができないのであれば,

非正規公務員は,どのように争えばいいのでしょうか。

 

 

 

 

非正規公務員が,任命権者から,

任用予定期間満了後の任用継続を確約ないし保障するなど,

期間満了後の任用継続を期待しても無理もない行為を受けた

といった特別の事情がある場合に限り,国家賠償法に基づき,

損害賠償請求が認められる余地があります。

 

 

この特別の事情を判断する際に,

長期間にわたる任用継続,

更新手続の形骸化,

任用時の説明,

非正規公務員の職務内容,

行政庁の説明内容

といった事情が総合考慮されます。

 

 

25回任用が繰り返され,25年にわたり,

吹田市に勤務していた非常勤の公務員の裁判において,

損害賠償請求が認められませんでした

(吹田市事件・大阪高裁平成29年8月22日判決・

労働判例1186号66頁)。

 

 

このように,単に任用が継続しただけでは,

再任用拒否の違法性は認められないため,

非正規公務員の雇止めを争うのは極めて困難なのが現状なのです。

 

 

民間企業の非正規雇用労働者と比べて,

非正規公務員の勤務関係はさらに不安定でありますので,

非正規公務員の雇用を継続させる法律を制定するなどして,

解決すべきと考えます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

会社が勝手に退職扱いしてきたときの対処法

最近は,人手不足の影響で,会社を辞めたくても

辞められないという法律相談が増えています。

 

 

その一方で,会社から,解雇ではないものの,

勝手に退職手続きをさせられるというトラブルも発生しています。

 

 

 

 

 

労働者が自分から辞めますとは言っていないにもかかわらず,

会社が「あなたは自分から辞めますと言いましたよね。」

などと言って,勝手に退職手続きをしてきた場合,

労働者はどのように対処するべきなのでしょうか。

 

 

本日は,このような会社の理不尽な

やり方に対処する方法を説明します。

 

 

会社が勝手に退職扱いしてきた場合に,

参考になるのが,東京地裁平成29年12月22日判決です

(判例時報2380号100頁)

 

 

この事件では,出産のため休業中であった女性労働者が,

会社から勝手に退職扱いされて育児休業の取得を妨げられた

と主張して,会社に損害賠償請求をしました。

 

 

いわゆるマタハラの事件です。

 

 

 

 

この判決では,労働者の退職の意思表示は,

その重要性にかんがみて,慎重に判断

しなければならないと判断されました。

 

 

なぜならば,退職の意思表示は,

労働者にとって生活の原資となる賃金の源である職

を失うという重大な効果をもらたす意思表示だからなのです。

 

 

日本の雇用社会では,労働者が自分の意思で退職する時には,

会社に退職届などの文書を提出することが一般的です。

 

 

口頭で退職の意思表示をすると,

言った言わないという問題になったり,

意味や趣旨が曖昧になるので,

退職という重大な意思表示を,

文書で明確にすることで,

円滑な退職手続きをすすめることができるのです。

 

 

そのため,退職届などの文書がない場合には,

退職の意思表示の認定はより慎重にする必要があるのです。

 

 

 

 

さらに,男女雇用機会均等法9条3項において,

女性労働者に対して,妊娠や出産,産前・産後休業,

育児休業の取得などを理由として,

不利益な取扱をしてはならないと規定されています。

 

 

妊娠や出産した女性労働者,

産前・産後休業や育児休業を取得している女性労働者

の退職の意思表示は,さらに慎重に判断しなければならないのです。

 

 

本件事件では,原告の女性労働者は,

退職の意思もそれを表示する言動もなく,

育児休業後に職場復帰する意思を表示していたことから,

会社が強引に退職扱いにしようとしたとして,

会社が主張する退職は認められませんでした。

 

 

そして,会社は,原告の女性労働者を違法に退職扱いにして,

育児休業取得に伴う育児休業給付金の受給を妨げたとして,

原告の女性労働者の育児休業給付金相当分

の損害賠償請求が認められました。

 

 

育児休業を取得する労働者が雇用保険の一般被保険者で,

育児休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が

11日以上ある月が12ヶ月以上ある場合,

会社を通じてハローワークに申請することで,

育児休業給付金が支給されるのです。

 

 

 

 

以上のように,会社が勝手に退職扱いしてきても,

労働者の退職の意思表示は慎重に判断されますので,

会社の対応に納得いかない場合には,あきらめずに,

会社に対して,働き続けることを主張していきます。

 

 

それでも,会社が素直に応じてくれない時には,

弁護士にご相談ください。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

研修中にけがをしたら・・・

人が通行している道路において大声で

自己紹介や今後の抱負を発表させられる,

度胸をつけるだめだと称してナンパをさせられる。

 

 

ブラック企業は,新入社員を,なんでも言うことを聞く,

会社にとって都合のいい人間に育て上げるために,

新人研修で社員を洗脳していきます。

 

 

 

 

研修講師が,新入社員を罵倒し,

人格を否定することを発言して,

新入社員を追い込み,会社の言うことを

聞くように洗脳していくのです。

 

 

このような新人研修はブラック研修と呼ばれ,

若者がブラック研修によって体調を崩し,

精神疾患を発症することが問題視されています。

 

 

それでは,このようなブラックな新人研修中に,

新入社員がけがをした場合,会社に対して,

どのような請求をすることができるのでしょうか。

 

 

本日は,新人研修中に負傷した新入社員が会社に

損害賠償請求をしたサニックス事件を紹介します

(広島地裁福山支部平成30年2月22日判決・

労働判例1183号29頁)。

 

 

この事件では,新人研修のカリキュラムの一つである

24kmを制限時間5時間で完歩する歩行訓練の際に,

48歳で身長171㎝,体重101.3kgの

男性の新入社員が右足と左足を負傷しました。

 

 

 

 

新入社員の男性は,労災申請し,

右足関節の機能障害(関節の動きが制限されること等です)

が右足関節離断性骨軟骨炎によるもので,

後遺障害等級10級10号に該当し,

左下肢の神経障害(痛みやしびれが生じること等です)

が後遺障害等級12級10号に該当すると判断されました。

 

 

労災が認定されると,国から,治療費の補償,

休業補償(けがで休んでいた期間の給料の補填),

後遺障害の補償(後遺障害残ったことの補償)

が受けられます。

 

 

しかし,労災では,休業補償は給料の8割

までしか補償されませんし,慰謝料の支払もされません。

 

 

そこで,労災ではけがをした労働者の損害の補償

として不足している部分について,労働者は,

会社に対して,損害賠償請求をします。

 

 

会社には,労働者の生命や健康を危険から

保護するように配慮すべき義務(安全配慮義務

を負っているので,労働者が労災で負傷した場合には,

会社が安全配慮義務を怠った可能性があるのです。

 

 

 

本件事件では,新入社員の男性が歩行訓練中に転倒して,

右足関節を痛めて,歩行訓練の中断や病院受診を求めても,

会社は,これを拒絶して歩行訓練を継続させました。

 

 

これが原因となって,新入社員の男性が

後遺障害が残る負傷をしたのですから,

会社の安全配慮義務違反が認められました。

 

 

また,労災事故の被害者に持病があり,

それが損害発生の原因になっている場合に,

損害額を減額することを素因減額といいます。

 

 

本件事件では,新入社員の男性に

軽度の変形性関節症があったのですが,

研修の前には何も症状がなく,軽度であったことから,

会社が主張した素因減額は認められませんでした。

 

 

結果として,合計1592万1515円の損害賠償が認められました。

 

 

このように,会社の研修中にけがをした場合,

まずは,労災請求をし,労災の認定を受けてから,

会社に対して,損害賠償請求をしていきます。

 

 

労働者が負傷するようなブラック研修が

実施されないようになっていってもらいたいです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

交渉の基本

弁護士は,日々,多くの交渉をしています。

 

 

相手方の弁護士との間でどのような条件

であれば和解ができるのか,

裁判官との間でクライアントに

有利な条件で解決できないか,

などの交渉をしています。

 

 

 

 

場合によっては,裁判の中で,クライアントの利益を

最大にするために,クライアントに一部譲歩してもらうために,

クライアントと交渉することもあります。

 

 

このように,弁護士は交渉に携わることが

多い仕事なのですが,弁護士になる過程やなった後にも,

交渉について体系的に学ぶ機会はないのです。

 

 

そこで,スキルアップのために,

日本交渉協会の交渉アナリスト2級の講座を受講したので,

アウトプットをします。

 

http://transagent.co.jp/nego/

 

 

まず,交渉を始める前に,

出発点,目標点,留保点

を明確にしておくとよいです。

 

 

出発点とは,交渉者が始めに主張する価格,

目標点とは,交渉者が「できればこの価格で交渉を妥結したい」

と考えている価格,

留保点とは,交渉者が「これ以上は譲れない」

と考えているぎりぎりの価格です。

 

 

交渉を始める前に,この3つが明確になっていれば,

相手方から条件を提示された際に,

どこまでなら譲歩できるか,

どこで交渉をまとめるべきかの基準ができているので,

交渉を進めやすくなります。

 

 

次に,交渉者同士の留保点が重なっている時,

その留保点の間で合意に至る可能性がでてきます。

 

 

交渉者同士の留保点の間が交渉で合意できる範囲であることを

ZOPA(Zone OF Possible Agreement)が正である」といいます。

 

 

この図で説明すると,図①はZOPAが正なので,

12,000円から7,000円の範囲内で合意が成立し,

図②はZOPAが負なので,合意が成立しないことになります。

 

 

(交渉アナリスト2級オンデマンド講座公式テキストより)

 

交渉は,双方が留保点以上の条件であれば,

合意できるので,相手方の留保点を探り,

ZOPAが正であるかを見極めることが重要になります。

 

 

交渉では,有利な代替案を持っていれば強気の交渉ができます。

 

 

交渉で合意できなかった場合の代替案で最も有利なものを

BATNA(Best Alternative To A Negotiated Agreement)といいます。

 

 

交渉が煮詰まってきたときに,

強いBATNAを相手方に示すことで,

相手方の留保点を見直させる効果が期待できます。

 

 

交渉では,自分から先に条件を提示することで,

相手にアンカリング効果を与えることができます。

 

 

アンカリングとは,認知バイアスの一つで,

人が最初に交渉相手から提示された条件

をもとに考えてしまう傾向のことです。

 

 

 

相手方の留保点を推測し,相手方の留保点よりも

少しこちらに有利な条件を最初に提示します。

 

 

相手方には,最初の条件提示がアンカリングされ,

その後の交渉は,最初の条件を中心に行われます。

 

 

その後,譲歩をして,相手方の留保点より少しだけ

相手方により有利なところで合意すればいいのです。

 

 

そして,交渉には,交渉者同士が競争関係のもと

お互いに相手方からより多く取り分を奪おうとする分配型交渉と,

交渉者同士が協創関係のもとお互いの利益の総額をより大きく

するような創造的な解決策を探し出す統合型交渉の2つがあります。

 

 

通常は,分配型交渉が多いのですが,

相手方の優先順位を考慮して,

統合型交渉にもっていくことで,

双方が満足する問題解決ができるときがあります。

 

 

交渉の基礎知識を学んだことで,

出発点,目標点,留保点を最初に明確化し,

最初に条件を提示してアンカリングを与える等を実践していると,

交渉を有利にすすめれるようになりました。

 

 

 

 

交渉の基本を学ぶことで,

ビジネスにおける交渉を有利に進めることができるので,

ビジネスマンにおすすめの講座として紹介させていただきました。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

内定者をタダ働きさせることは違法です!

内定者にタダ働きをさせている悪質な企業がいることを,

大阪府立大学がツイートしたことが話題になっています。

 

 

 

大阪府立大学キャリアサポート室が次のようなツイートをしました。

 

 

「内定者を使って,学内で自社宣伝のチラシを配らせたり,

キャリアサポート室の許可なく学内で

自社セミナーを企画させたりするなど,

企業側の目に余る採用活動が目立っています。

本来採用担当の社員が行うべき業務を,

内定者をただ働きで使う行為は違法であり,

言語道断です。厳に謹んでください」

 

 

社会人経験のない大学生の内定者が,

内定先の企業から自社宣伝のチラシの配布などを依頼された場合,

断ったら何か不利益な取扱を受けるのではないかと

不安になってしまい,応じてしまうのが現状なのでしょう。

 

 

このように,内定者の忠誠心を利用して,

企業が内定者をタダ働きさせることは,

労働基準法に違反しており,悪質です。

 

 

本日は,内定者をタダ働きさせることが

違法になる根拠について解説します。

 

 

まず,企業の採用の手続は,

①企業による募集→

②これに対する労働者の応募→

③企業から労働者に対する採用内定の通知→

④就労開始予定日が到来し,就労開始

という流れで進むのが一般的です。

 

 

 

この流れの中のどの時点で,

労働契約が成立したといえるのかについて,

大日本印刷事件の最高裁昭和54年7月20日判決では,

採用内定通知の時点で,入社予定日を就労の始まりとする

解約権留保付労働契約が成立していると判断されました。

 

 

すなわち,採用内定通知によって,

就労開始予定日までに採用内定取消事由が生じた場合には

解約できるという留保が付された労働契約が成立するのです。

 

 

ということは,入社予定日から内定者は

就労を始めることになりますので,入社前は,

内定者には,就労の義務はないことになります。

 

 

もし,内定者が入社前に就労したのであれは,企業は,

内定者に対して,就労に対する賃金を支払わなければなりません。

 

 

また,内定者が入社前の就労を拒否したことで,

内定が取り消された場合,

そのような内定取消は無効になります。

 

 

 

 

大阪府立大学のツイートにあるように,

自社宣伝のチラシを配布させたり,

学内で自社セミナーを企画させることは,本来,

企業の採用担当者の仕事ですので,

それを内定者にさせることは,そもそもできません。

 

 

仮に,内定者にそのようなことをさせるのであれば,企業は,

採用担当者と同じだけの時給を内定者に支払わなければなりません。

 

 

よって,内定者には入社前に就労義務がないのに,

採用担当者の仕事をさせている点,

仕事なのに賃金を支払っていない点において,

労働基準法に違反することになります。

 

 

大阪府立大学のツイートをきっかけに,

このような悪質な企業がなくなることを願います。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

カルロス・ゴーン氏の逮捕から内部告発を考える

 

日産自動車の代表取締役会長のカルロス・ゴーン氏が,

自身の役員報酬を約50億円過小に申告したとして,

金融商品取引法違反の被疑事実で,

逮捕されたニュースが連日報道されています。

 

 

(ヤフーニュースより抜粋)

 

報道によりますと,東京地検特捜部は,

司法取引によって,執行役員らから,

カルロス・ゴーン氏を立件するための証

拠や情報の提供を受けたようです。

 

 

司法取引とは,被疑者や被告人が他人の犯罪の捜査に

協力することと引き換えに,検察官が被疑者や被告人に対して,

刑事処分について恩恵を与える制度です。

 

 

情報提供した執行役員らもカルロス・ゴーン氏の

犯罪に関与していたようですが,司法取引によって,

刑事処分が軽減される見通しです。

 

 

また,日産自動車の社内において,

内部告発により社内調査をしたところ,

カルロス・ゴーン氏の被疑事実が明らかになったので,

東京地検特捜部の捜査に全面協力することになったようです。

 

 

このように,大企業の犯罪や不祥事は,

会社内部からの情報がないと明らかにされないことが多いです。

 

 

 

 

そのため,会社内部の情報を外部に通報しても,

その通報した人を守る制度がないと,

通報した後の会社からの仕返しが怖くて,

誰も通報しなくなります。

 

 

そこで,刑事手続においては,司法取引によって,

情報提供者に恩恵を与え,労働関係については,

公益通報者保護制度によって,

不利益が生じないようにしているのです。

 

 

それでは,どのような場合に,

内部告発は,公益通報として保護されるのでしょうか。

 

 

まずは,公益通報者保護法に定められている

公益通報」に該当する必要があります。

 

 

公益通報とは,労働者が,不正の目的ではなく,

労務提供先や処分権限を有する行政機関に対し,

犯罪行為が生じまたはまさに生じようとしている

際に通報することをいいます。

 

 

次に,公益通報をする先によって,

以下の要件を満たす必要があります。

 

 

会社の内部で通報する場合には,労働者が,

通報対象事実の発生または切迫性を思料するだけで十分です。

 

 

労働基準監督署などの行政機関へ通報する場合には,

通報対象事実が発生しているか,または,

通報対象事実が発生しようとしていると信じるに足りる相当の理由

が必要になります(真実相当性といいます)。

 

 

その他の外部機関(マスコミなどです)へ通報する場合には,

真実相当性以外に,次のいずれかに該当する必要があります。

 

 

①会社内部や労働基準監督署へ通報すれば,

会社から解雇されるなどの不利益な取扱をうける危険がある場合

 

 

②会社内部で通報すれば,通報対象事実の証拠を隠滅される

おそれがある場合

 

 

③会社から公益通報をしないことを要求されている場合

 

 

④文書で会社に通報したけれども,会社が何も調査をしない場合

 

 

⑤個人の生命または身体に危害が発生する危険が切迫している場合

 

 

今回の日産自動車の場合,役員報酬の過少申告という

通報対象事実が発生しているので,

日産自動車の労働者が東京地検特捜部に通報すれば,

公益通報者保護法の要件を満たすと考えられます。

 

 

 

 

今回の日産自動車の事件で,役員ではない労働者が,

東京地検特捜部に通報したのであれば,

解雇や降格,減給などの不利益な取扱を受けることはありません。

 

 

一人の権力者が長期間に渡り,権力を掌握し続けると,

どこかで歪みが生じて不祥事が起きるものです。

 

 

権力は腐敗するのです。

 

 

企業の不祥事や犯罪事実が闇に葬られることを防止し,

企業が健全な経営をしていくためにも,

内部告発をする労働者が守られる社会

にしていく必要があると考えます。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

会社を辞めさせてもらえないときの対処法

最近,人手不足のせいなのでしょうか,

会社を辞めたいのに,辞めさせてもらえない

という労働相談が増えています。

 

 

上司のパワハラがひどいので早く辞めたいのに,

1ヶ月前から退職届を提出しないと辞めさせてもらえない,

辞めるなら,損害賠償請求をすると脅されていて辞めれない,

といった労働相談が増えているのです。

 

 

仕事が辛いのに,辞めれないのでは,

精神的に苦しくなってしまいます。

 

 

 

 

それでは,会社を辞めたくなったとき,

どうすれば会社を辞めれるのでしょうか。

 

 

本日は,労働者が会社を辞めるための対処法について解説します。

 

 

まず,労働者は,憲法22条で職業選択の自由,

憲法18条で奴隷的拘束の禁止が保障されていますので,

労働者の退職は原則として,自由なのです。

 

 

もっとも,民法において,

労働者の退職の自由が一部制限されています。

 

 

正社員の場合,退職届を提出してから

2週間が経過すれば,退職が認められます。

 

 

 

 

 

そして,労働者が6ヶ月以上継続勤務し,

8割以上出勤していれば,10日間の有給休暇を取得できます。

 

 

通常の会社であれば,土曜日と日曜日が休みですので,

平日10日間で全て有給休暇を利用すれば,

2週間に土日が2回あるので,

2週間会社に出勤しなくても,

会社を退職することができます。

 

 

契約社員の場合,労働契約の期間が定められていますので,

原則として,契約期間の途中で会社を辞めることはできません。

 

 

しかし,例外的に,病気や事故などで長期間働けない場合や,

会社が労働基準法を守っていないために,就労が困難な場合などの,

やむを得ない事由があれば,契約社員であっても,

すぐに退職することができます。

 

 

次に,民法では,退職の2週間前に予告すればいいのですが,

就業規則で,退職するには1ヶ月前までに予告しなければならない

と規定している場合について検討します。

 

 

先ほども述べましたが,労働者の退職は原則として自由ですので,

民法よりも長い予告期間を設けると,

労働者の退職の自由を制限することから,

2週間以上の予告期間は無効になる可能性があると考えます。

 

 

そのため,労働者は,就業規則に退職の1ヶ月前から

予告しなければならないと規定されていても,

会社に行くのがしんどくて,1日も早く辞めたいのであれば,

有給休暇を利用して,すぐに辞めるようにしてください。

 

 

 

しんどいまま働いて,健康を害してしまっては,

取り返しのつかないことになります。

 

 

自分の健康を第一に考えてください。

 

 

会社が,損害賠償請求をすると脅してきたとしても,

労働者には退職の自由がありますし,

労働者が辞めたことで,

会社にどのような損害が発生したのかについて,

会社が証明できないことがほとんどですので,

そのような脅しに屈せずに,

早く会社を退職してしまいましょう。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。