連合が高度プロフェッショナル制度の容認を撤回

 

 平成29年7月26日のマスコミの報道によれば,連合が,高度プロフェッショナル制度を条件付きで容認する方針を撤回したようです。

 

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6248247

 

 このブログで何回か記載していますが,高度プロフェッショナル制度は,残業代ゼロ法案と言われているとおり,この制度の対象者には,どれだけ働いても残業代が支払われなくなるので,長時間労働による過労死が増加するリスクがあります。さらに,今は年収1075万円以上の労働者が対象ですが,将来的にこの年収要件が下げられて,多くの労働者が残業代ゼロの対象になるリスクがあります。

 

 そのため,労働者側の識者達は,こぞって高度プロフェッショナル制度に反対し続けており,国会でも2年以上もたなざらしにされてきました。

 

 労働者の反対が強かったからか,連合が高度プロフェッショナル制度の容認を撤回したことは喜ばしいことです。もっとも,一度容認したことを撤回したので,今後,政府や経団連に対して,強く反対を主張し続けれるのか不安が残ります。また,高度プロフェッショナル制度を一度容認したせいで,連合は,労働者からの信頼も失ったので,連合の意見にどれだけ労働者の意見が反映されているのか疑問が持たれるおそれもあります。

 

 連合には,組織内の統治を今一度見直してもらい,高度プロフェッショナル制度に強く反対していってもらいたいです。

 

未払残業代の消滅時効が5年になるか

 労働基準法115条で,労働債権である未払残業代の消滅時効は2年になっています。賃金の支払日から2年が経過すると,未払残業代を請求できなくなるのです。

 

 ところが,今年の民法改正で債権の消滅時効が5年に統一されました。それにもかかわらず,労働債権については,労働基準法115条が改正されていないため,消滅時効は2年のままです。他の債権が5年の消滅時効なのに,労働債権だけ2年の消滅時効のままでは,労働者保護に反するとして,厚生労働省の労働政策審議会で見直しの議論が始まりました。

 

 http://www.asahi.com/articles/DA3S13033572.html

 

 経営者側は,未払残業代の消滅時効が5年になれば,支払わなければならない残業代が増えるので,当然抵抗しています。しかし,民法の消滅時効の原則が変更された今,労働債権だけ2年の消滅時効にする理由は乏しく,労働者保護の観点から早急に労働債権の消滅時効を5年にすべきです。

 

 早急に労働債権の消滅時効が5年になるといいですね。

 

残業代ゼロ 連合容認?

 平成29年7月12日の朝日新聞の報道によれば,連合は,高度プロフェッショナル制度について修正を求め,要請が認められれば制度の導入を容認する方針を固めたようです。

 

http://www.asahi.com/articles/ASK7C777MK7CULFA03X.html

 

 高度プロフェッショナル制度とは,ざっくりと言えば,年収1075万円以上のコンサルタント等の専門職の残業代がゼロになる制度です。労働基準法では,1日8時間,1週間40時間を超えて働かせた場合,使用者は,労働者に残業代を支払わなければならないという規制があります。この労働時間の規制の対象から,年収の高い専門職を外すのが高度プロフェッショナル制度で,残業代ゼロ法案と批判されていました。

 

 高度プロフェッショナル制度の問題点は,会社が労働者に対して残業代を支払うことなくどれだけでも働かせることができてしまうので,長時間労働が蔓延し,過労死・過労自殺が増加する危険があることです。

 

 昨年の電通事件以降,長時間労働を是正するために,これ以上働かせた場合には,会社に刑罰を科すという,労働時間の上限規制が議論されてきたのですが,高度プロフェッショナル制度は,労働時間の規制を撤廃するものであり,労働者保護に逆行するものです。

 

 連合は,これまで高度プロフェッショナル制度に反対してきたのですが,突如として,条件付きで容認の立場に変わったようです。連合が求めている,年104日以上の休日取得,勤務間インターバル等は,労働者保護の見地から必要な政策ですが,高度プロフェッショナル制度を廃止した上で求めていくものと考えます。労働者の立場を代表する連合には,高度プロフェッショナル制度には,最後まで反対して欲しかったです。

 

 高度プロフェッショナル制度の概要や問題点については,私も作成に携わった日弁連のパンフレットに分かりやすく解説されています。

 

 https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/kodo_professional_seido_pam_color.pdf