非正規公務員の雇止め問題

公務員の労働問題は,民間企業の場合と

異なることが多々あります。

 

 

 

公務員の労働条件は,法律や条例で定められるのに対して,

民間企業の労働条件は,労働契約書や就業規則で定められます。

 

 

また,公務員の採用や退職といった身分関係の変動が

全て行政行為に基づいている点に特色があります。

 

 

行政行為とは,行政庁が,法律に基づき,

公権力の行使として,直接・具体的に

国民の権利義務を規律する行為をいいます。

 

 

そのため,公務員の身分関係の変動を争う場合には,

行政庁の判断に裁量の逸脱や濫用があったかが争点になります。

 

 

このように,公務員の労働問題は,

民間企業とは異なる特殊性があるのですが,

本日は,非正規公務員の雇止めの問題について解説します。

 

 

労働契約法19条によって,民間企業の非正規雇用労働者は,

有期労働契約が更新されるものと期待することについて

合理的な理由がある場合には,雇止めが無効になって,

有期労働契約が更新されることがあります。

 

 

しかし,非正規公務員の場合,労働契約法21条によって,

労働契約法が適用されないため,

今後も雇用が継続すると期待することについて

合理的な理由があっても,雇止めは有効となります。

 

 

民間企業の非正規雇用労働者であれば,

雇用が継続される場合であっても,

非正規公務員の場合は,行政庁が更新を認めない限り,

雇用が継続されることはないのです。

 

 

これは,公務員の採用である任用は,

行政庁の行政行為があって初めて勤務関係が成り立つのであって,

民間企業のように,労働者と会社の合意だけで

勤務関係が成立しないことに原因があります。

 

 

すなわち,法令に則った任用や任用更新手続が行われる

非正規公務員の再任用拒否については,

民間企業の場合と異なり,当事者の合理的意思解釈

によって任用関係の内容が変更されることは

認められていないので,再任用への期待が

直ちに合理的な期待として法的保護が与えられないからなのです。

 

 

それでは,任用更新ができないのであれば,

非正規公務員は,どのように争えばいいのでしょうか。

 

 

 

 

非正規公務員が,任命権者から,

任用予定期間満了後の任用継続を確約ないし保障するなど,

期間満了後の任用継続を期待しても無理もない行為を受けた

といった特別の事情がある場合に限り,国家賠償法に基づき,

損害賠償請求が認められる余地があります。

 

 

この特別の事情を判断する際に,

長期間にわたる任用継続,

更新手続の形骸化,

任用時の説明,

非正規公務員の職務内容,

行政庁の説明内容

といった事情が総合考慮されます。

 

 

25回任用が繰り返され,25年にわたり,

吹田市に勤務していた非常勤の公務員の裁判において,

損害賠償請求が認められませんでした

(吹田市事件・大阪高裁平成29年8月22日判決・

労働判例1186号66頁)。

 

 

このように,単に任用が継続しただけでは,

再任用拒否の違法性は認められないため,

非正規公務員の雇止めを争うのは極めて困難なのが現状なのです。

 

 

民間企業の非正規雇用労働者と比べて,

非正規公務員の勤務関係はさらに不安定でありますので,

非正規公務員の雇用を継続させる法律を制定するなどして,

解決すべきと考えます。

 

 

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