和解や調停の解決金から源泉徴収されてしまうのか?

労働者が解雇されたものの,

解雇に納得がいかない場合,

解雇が無効であるとして,

労働者としての権利を有することの確認と,

未払賃金の請求をすることが多いです。

 

 

 

 

このように争うとき,形式的には

会社に復職することを主張するのですが,

労働者としては,自分を解雇するような

会社に戻りたいとは通常考えないため,

労働審判手続などでは,会社から

いくらかの金銭の支払いを受けて,

労働契約を合意で解約するという

解決がされることが多いです。

 

 

このように,労働契約を合意解約した上で,

会社からいくらかの金銭の支払いを受ける

という調停や和解が成立する場合,会社は,

労働者に対して,解決金という名目で

金銭を支払うことが多いです。

 

 

これは,解雇した日ではなく,

和解や調停が成立した日に労働契約を合意で解約するので,

解雇日から和解や調停が成立した日までの未払賃金とすると,

失業給付の返還や,社会保険をさかのぼって適用するのか

というややこしい問題が生じるので,

和解や調停が成立した日に労働契約を解約して,

会社が労働者に対して,未払賃金ではなく

解決金を支払うことにしているのです。

 

 

 

 

また,解決金には,不当解雇に対する

慰謝料の趣旨も含まれると解することもできます。

 

 

このような性質の解決金について,

会社は,和解や調停で決まった金額を

そのまま支払ってくることがほとんどです。

 

 

しかし,会社が,和解や調停で決まった解決金は

退職所得であるとして,所得税を源泉徴収してきた場合,

労働者は,どのように対処するべきなのでしょうか。

 

 

ややマニアックな論点ですが,

長崎地裁平成30年6月8日判決は,

解決金は退職所得ではないと判断しました。

 

 

和解や調停の条項に解決金と記載された場合の金員については,

当事者には,和解や調停によって裁判手続を終了させるための

支払であるということ以上に,

その金員の性質について認識の一致がなく,

裁判所を含めて,和解や調停の成立のための金員という以上に

その法的性質を判別することはできません。

 

 

解決金は,裁判手続を終了させるために支払われる金員

という以上にその法的性質を確定することは

事実上極めて困難であるため,

退職所得の性質を有するとは認められませんでした。

 

 

この裁判例からは,会社が解決金を源泉徴収義務のある

給与所得や退職所得などと考えたとしても,

労働者がそれを争う限り,会社は,

解決金の中から源泉徴収することはできず,

労働者に対して,解決金の全額を

支払わなければならないことが導かれます。

 

 

 

 

もし,会社が解決金から源泉徴収をして,

解決金全額を支払わなかった場合,

和解や調停が成立しているので,

労働者は,会社が源泉徴収した部分について,

会社が保有する財産を差押えて,

強制的に支払いを求めることができるのです。

 

 

ややマニアックな論点ですが,

解雇の事件が終了するときに問題となることがありますので,

紹介させていただきました。

 

 

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