退職金制度の廃止

以前は,退職金規定があり,実際に退職した労働者に対して,

退職金が支払われていたので,自分も退職金が支払われると

考えていたところ,労働者の知らない間に,

退職金規定が廃止されていたため,会社から,

退職金規定が廃止されるまでの退職金は支払うが,

退職金規定が廃止されてからの退職金は支払わない

と言われてしまいました。

 

 

退職金を老後の資金と考えていた労働者は,とても困ります。

 

 

 

 

このように,退職金規定を廃止することは認められるのでしょうか。

 

 

退職金規定は,通常,就業規則の一部と捉えられており,

退職金規定を廃止することは,退職金の支給がなくなることを意味し,

労働者にとって不利益ですので,就業規則の変更によって

労働条件を不利益に変更することになります。

 

 

就業規則を変更して労働条件を不利益に変更するためには,

変更後の就業規則を労働者に周知させて,かつ,

就業規則の変更が合理的なものであることが必要です。

 

 

就業規則の変更が合理的なものといえるかについては,

①労働者の受ける不利益の程度,

②労働条件の変更の必要性,

③変更後の就業規則の内容の相当性,

④労働組合との交渉の状況

などを考慮して決められます。

 

 

 

退職金規定が廃止される場合,

①労働者は,退職金規定が廃止されてしまえば,

それ以降,退職金が支給されなくなってしまい,

老後の資金を確保できず,不利益が大きいといえます。

 

 

②労働条件の変更の必要性については,経営悪化などから,

人件費削減が必要だったのかが検討されますが,

賃金や退職金など労働者にとって

重要な労働条件を不利益に変更するには,

そのような不利益を労働者に法的に受任させることを

許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである

ことが求められます。

 

 

そのため,退職金規定を廃止する場合,

単に経営が悪化したという理由だけではだめで,

経営改善のためにどのようなことがされたかが

検討される必要があります。

 

 

③変更後の就業規則の内容の相当性については,

不利益を被る労働者に対して,

代償措置がとられたかが重要となります。

 

 

退職金規定を廃止する場合には,

退職金に変わる給付金を労働者に支給するか,

現在働いている労働者の退職金だけは保証するなどの

代償措置が考えられます。

 

 

退職金規定の廃止について,代償となる労働条件を

何も提供していないとして,退職金規定の廃止を認めなかった

御國ハイヤー事件の最高裁昭和58年7月15日判決があります。

 

 

④労働組合との交渉の状況については,労働組合に,

変更によって不利益を被る労働者が含まれており,

その労働者を含む総意として労働組合が会社との間で交渉をした場合

初めて,労使間の利益調整の結果が尊重されることになります。

 

 

まとめますと,退職金規定を廃止するには,

労働者の被る不利益が大きいので,高度な必要性が求められ,

何も代償措置がない場合には,退職金規定の廃止は認められず,

労働者は,廃止前の退職金規定に基づいて,

退職金を請求することができるのです。

 

 

 

 

退職金規定が廃止された場合には,

退職金規定の廃止についてどのような必要性があったのか,

代償措置として何があったのか,

労働組合や労働者に対してどのような説明があったのか

を検討するようにしましょう。

 

 

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