日本相撲協会の危機管理政策顧問・常任特別顧問は労働者か?

2019年の大相撲の夏場所において,

富山県出身の朝乃山関が優勝しました。

 

 

北陸出身の力士が本場所で優勝したニュースに,

同じ北陸出身の者として勇気をもらいました。

 

 

さて,私の手元に届く判例集を見ていると,日本相撲協会との間で,

労働契約が成立していたかが争われた事件の裁判例が掲載されていたので,

紹介したいと思います

(東京地裁平成30年8月28日判決・判例時報2393・2394合併号)

 

 

 

この事件では,日本相撲協会との間で,

事務局全般の助言と指導,理事長の特命業務,

危機管理に関する業務を委託する業務委託契約を

締結した会社の代表者が(原告),

危機管理政策顧問や常任特別顧問という役職で活動していましたが,

日本相撲協会に雇用されていたのに解雇されたとして,

労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めました。

 

 

労働契約上の権利を有する地位が認められるためには,

ある団体とある人物との間で,

労働契約が成立していることが必要になります。

 

 

労働契約の成立について,労働契約法6条では,

「労働契約は,労働者が使用者に使用されて労働し,

使用者がこれに対して賃金を支払うことについて,

労働者及び使用者が合意することによって成立する」

と規定されています。

 

 

そのため,就労時間やそれに対する賃金額及びその支払方法などの

具体的な労働条件が労働契約の内容として,

労働者と使用者が合意することで,

労働契約が成立するのです。

 

 

本件事件では,日本相撲協会と原告との間で,

労働条件を記載した労働契約書は取り交わされておらず,

賃金や所定労働時間などの労働条件が特定されておらず,

就業規則で定められた職員採用の手続きもとられていないことから,

明示的に具体的な労働条件を定めた労働契約は

締結されていないと判断されました。

 

 

賃金や労働時間といった重要な労働条件が何も決まっていないと,

労働契約とは認められないということです。

 

 

また,前述した労働契約法6条の条文の規定から,

労働者といえるためには,

①使用者の指揮監督下において労務の提供をし,

②労務提供に対する対償を支払われる者という

「使用従属性の要件」を満たす必要があります。

 

 

原告は,①日本相撲協会の意向に沿わない活動をしたりしていたので,

日本相撲協会の指揮監督の下に置かれておらず,

②報酬が月額144万円と日本相撲協会の理事長と

同じ金額を受け取っているものの,

労務提供に対する対償として高額であることから,

日本相撲協会の指揮命令下において仕事をしているものではなく,

労働者と認められませんでした。

 

 

自分の好き勝手に働いていたのでは,

使用者の指揮監督に応じていない,

独立した個人事業主といえますし,

報酬が通常の労働者と比較して高額すぎると,

個人事業主と判断されやすくなります。

 

 

労働契約が成立する際の考慮要素や,

労働者と認められるための基本的な要素について,

学べる事案だと思い,紹介しました。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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