新型コロナウイルスの影響で在宅勤務を命じる場合,正社員と非正規雇用労働者で待遇格差を認めるべきではない

1 非正規雇用労働者には在宅勤務が認められないという問題

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて,

人が密集しやすい公共交通機関やオフィス街において,

自社の社員が新型コロナウイルスに感染するのを避けるために,

在宅勤務に切り替えてる企業が増えています。

 

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200302/k10012308891000.html

 

 

しかし,一方で,正社員には在宅勤務は認められたが,

非正規雇用労働者には在宅勤務が認められなかった

というケースもあるようです。

 

 

https://www.bengo4.com/c_5/n_10870/

 

 

本日は,正社員にだけ在宅勤務が認められて,

非正規雇用労働者には在宅勤務が認められないことの

法律的な問題点について解説します。

 

 

 

2 不合理な待遇格差の禁止

 

 

この問題点については,今年の4月1日から施行される,

短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律

(パートタイム有期雇用労働法)8条に,次のように規定されています。

 

 

会社は,正社員と非正規雇用労働者との間において,

業務の内容,業務に伴う責任の程度,

職務の内容及び配置の変更の範囲,

その他の事情を考慮して,

不合理と認められる相違を設けてはならないとされています。

 

 

正社員と非正規雇用労働者の仕事内容がほぼ同じで,

責任の程度も異なることはなく,

正社員と非正規雇用労働者の人事異動が実質的に同じであれば,

正社員と非正規雇用労働者との間の労働条件の相違は無効になるのです。

 

 

ものすごく平たく言うと,

正社員と非正規雇用労働者が同じ仕事をしているなら,

同じ労働条件にすべきということになります。

 

 

ここで注意すべきなのは,問題となる労働条件に

相違が生じている場合に,当該労働条件の性質や目的

に応じて判断していくことです。

 

 

例えば,通勤手当や食堂の利用など,

仕事内容や配置転換の範囲と直接関連しない給付については,

原則として同一の取り扱いが求められます。

 

 

これに対して,職能給などの仕事内容や配置転換の範囲と

関連性をもつ給付については,その前提となる仕事内容や

配置転換の範囲に違いがある場合には

その前提の違いに対してバランスを欠く

相違があるときに不合理となるのです。

 

 

 

3 新型コロナウイルス感染拡大を理由とする在宅勤務を

正社員にだけ認めて,非正規雇用労働者に認めないのは不合理です

 

以上を前提に,新型コロナウイルス感染拡大を理由とする

在宅勤務を正社員にだけ認めて,非正規雇用労働者に認めないという

相違は不合理となるかについて検討します。

 

 

会社は,自社の社員が新型コロナウイルスに感染することを

阻止する目的で在宅勤務を命じています。

 

 

自社の社員が新型コロナウイルスに感染すると,

職場で感染が拡大して,社員が職場で働けなくなり,

会社が経営活動を続けていけないからです。

 

 

この目的を前提とすれば,同じ職場環境に置かれている

正社員と非正規雇用労働者との間で,

社員の安全管理に相違を設ける必要はなくなります。

 

 

ましてや,正社員と非正規雇用労働者の仕事内容が同じで,

配置転換も同じであれば,なおさら,

在宅勤務で相違を設けることは不合理です。

 

 

そのため,会社が新型コロナウイルス感染拡大を理由に

在宅勤務を命じる場合,正社員にだけ在宅勤務を認めて,

非正規雇用労働者には在宅勤務を認めないのでは,

パートタイム有期雇用労働法8条に違反するとして,

無効になると考えます。

 

 

会社が労働法に在宅勤務を命じるのであれば,

正社員も非正規雇用労働者も同じように在宅勤務を認めるべきです。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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