会社が労働者の年次有給休暇の取得を妨害することは違法です

1 年次有給休暇の申請をしたのに取得できなかった

 

 

年次有給休暇の申請をしたにもかかわらず,会社から,

年次有給休暇の取得は認められないと言われてしまい,結局,

年次有給休暇を取得できなかったという法律相談を先日受けました。

 

 

本日は,年次有給休暇の取得を妨害された場合に,

労働者がとりえる手段について,説明します。

 

 

会社から年次有給休暇の取得を妨害された場合,会社に対して,

慰謝料の損害賠償請求をすることを検討します。

 

 

2 年次有給休暇の取得の妨害に対する損害賠償請求

 

 

年次有給休暇の取得の妨害について,

慰謝料の損害賠償請求を認めた,

日能研関西ほか事件の大阪高裁平成24年4月6日判決を紹介します

(労働判例1055号28頁)。

 

 

この事件では,年次有給休暇の申請をした労働者に対して,

上司が次のような言動をしたと認定されました。

 

 

「今月末にはリフレッシュ休暇をとる上に,

6月6日まで有給をとるのでは,非常に心証が悪いと思いますが。

どうしてもとらない理由があるのでしょうか」

 

 

 

「こんなに休んで仕事がまわるなら,

会社にとって必要のない人間じゃないのかと,

必ず上はそう言うよ。その時,僕は否定しないよ」

 

 

この上司の発言を受けて,原告の労働者は,

年次有給休暇の申請を取り下げました。

 

 

この上司の発言は,原告の労働者が年次有給休暇の申請を

したことに対する嫌がらせであり,

原告の労働者の年次有給休暇を取得する権利を侵害する違法行為となり,

原告の人格権を侵害したものと判断されました。

 

 

結果として,原告の労働者が被った精神的苦痛に対する

慰謝料として60万円が認められました。

 

 

もう一つ,年次有給休暇の取得の妨害について,

慰謝料の損害賠償請求を認めた,

出水商事事件の東京地裁平成27年2月18日判決を紹介します

(労働判例1130号83頁)。

 

 

この事件では,会社が,給料明細に記載されている

年次有給休暇の残日数を勝手に0日に変更したり,

通達を発して,取得できる年次有給休暇の日数を勝手に6日に限定し,

年次有給休暇の取得理由を冠婚葬祭や病気休暇に限定しました。

 

 

裁判所は,次のように判断しました。

 

 

年次有給休暇の利用目的は労働基準法の関知しないところであり,

本来,年次有給休暇をどのように利用するかは,

会社の干渉を許さない労働者の自由であって,

会社が,労働者に対して,冠婚葬祭や病気などの理由でなければ,

年次有給休暇の取得を認めないという取扱は許さないと判断されました。

 

 

そして,労働基準法に基づいて労働者に

年次有給休暇を取得する権利が発生した場合には,会社は,

労働者が年次有給休暇を取得する権利を行使することを

妨害してはならない義務を労働契約上負っていることから,

上記の会社の対応は,労働契約上の債務不履行にあたると判断されました。

 

 

 

結果として,50万円の損害賠償請求が認められました。

 

 

このように,会社から,年次有給休暇の取得を妨害された場合,

会社に対して,慰謝料の損害賠償請求が可能となりますので,

年次有給休暇の取得を妨害する会社の対応は違法であるとして,

年次有給休暇を取得させるように交渉してみるのがいいでしょう。

 

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

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